山葡萄籠のヒゴ作り大全

山葡萄

山葡萄籠づくりって、編みそのものが注目されがちだけど、実は完成度を決めるのは「ヒゴ(編み材)」。

ヒゴの品質(幅や厚み)が揃っていれば、編みは驚くほどスムーズに進む。逆にヒゴが悪いと、どんなに上手に編もうとしても、歪み・ねじれ・割れ・ささくれが必ず出てくる。つまり、**山葡萄籠は“ヒゴの品質=籠の品質”**と言っても言い過ぎじゃない。

この記事では、山葡萄籠に使うヒゴの「種類」と「製作工程」を中心に、実践で効くポイントをまとめるよ。

山葡萄籠のヒゴ作り

  1. 1. ヒゴとは何か(山葡萄の場合)
  2. 2. 山葡萄ヒゴの種類(何をどこに使うか)
    1. (1)構造用ヒゴ(強度担当)
    2. (2)仕上げ用ヒゴ(見た目担当)
    3. (3)縁・巻き・補強用ヒゴ(曲げ担当)
    4. (4)表皮系/内皮系の使い分け
  3. 3. 山葡萄 ヒゴ作りの道具
  4. 4.山葡萄 ヒゴ作りの治具
    1. 1) 幅決め治具
      1. A. 「溝ゲージ板」:幅を揃える
  5. 4. 山葡萄ヒゴの製作工程
  6. 0. まず押さえる全体像(採取後〜使用まで)
    1. 皮を「採る時期」が工程を左右する
      1. 山葡萄の皮を採る最適な時期【エリア別一覧】
  7. 1. 採取直後の一次処理(現場で勝負が決まる)
    1. 1-1. 付着物を落とす(泥・苔・虫・葉柄)
    2. 1-2. まっすぐに整える(曲がり癖の抑え)
    3. 1-3. ねじれ、ソリ整形 
  8. 2. 乾燥
    1. 2-1. 乾燥の基本:風通し+直射日光を避ける
    2. 2-2. “乾いたフリ”に注意(芯湿り)
  9. 3. ヒゴ加工前作業 戻し(水に浸ける“)
    1. 3-1. 戻しの目安(判断は手でやる)
    2. 3-2. 浸水時間の目安
      1. 状態別の調整ポイント
  10. 4. 鬼皮剥ぎ(オニ皮→目的の層を取る)
    1. 4-1. オニ皮(荒皮)を落とす
  11. 5. 引き(伸ばし)・なめし(均し)で“ヒゴの品格”を作る
    1. 5-1. 引き(テンションをかけて真っ直ぐに)
    2. 5-2. なめし(厚みムラを潰し、硬さを均す)
      1. 鞣し手順
      2. 解説イラスト(引き・なめしの力の方向)
  12. 6. ヒゴ取り(裁断):幅を決める
      1. ハサミか手か どちら?
      2. 幅出し前の準備(成功率が跳ねる)
        1. 含水状態
      3. 繊維方向の見分け
      4. 作業台と姿勢
    1. 手で割く(裂く)方法:きれいで強い王道
      1. 手順(基本)
        1. ①「起点」を作る(ここだけ刃物OK)
        2. ② テンションをかけて裂く
        3. ③ “蛇行しそう”な所の対処
    2. コツ(超重要)
    3. ハサミ利用:便利だけど、使いどころが肝
      1. ハサミのメリット
      2. ハサミのデメリット(知っとくと事故減る)
    4. ハサミを使う“正しい使い方”
      1. ① 最初は「太い帯」を作る用途だけ
      2. ② 切るなら「一気切り」より「小刻み切り」
      3. ③ 切り口の“毛羽”は早めに処理
    5. いちばん安定する「併用ルート」(おすすめ)
    6. 具体例:幅5mmのヒゴを作りたい
  13. 7. ヒゴ取り:厚みを決める
    1. 山葡萄 ヒゴ 厚み調整治具
      1. 参考動画:安曇野昭和館工房様  山葡萄 ヒゴ 厚さ調整治具
  14. 7. 仕上げ(毛羽取り・面取り・癖取り)
    1. 7-1. 毛羽取り
    2. 7-2. 面取り(角を落として割れにくく)
      1. 解説イラスト(面取りの効果)
  15. 8. 再乾燥・ストック(“使える在庫”を作る)
    1. 8-1. 乾燥させてから保管(湿りっぱなしはNG)
    2. 8-2. 保管のコツ(束ね方)
      1. 解説イラスト(ストック管理)
  16. 9. 使用前の“戻し直し”(制作当日のコンディション作り)
    1. 9-1. 使う分だけ戻す
    2. 9-2. 湿し管理(編み台の上で乾かさない)
      1. 解説イラスト(含水の狙い)
  17. 山葡萄 ヒゴ製作後の品質チェック
    1. ① 見た目(等級分け)
    2. ② 幅と厚み(ムラがないか)
    3. ③ 反り・ねじれ(扱いやすさ)
    4. ④ 戻して曲げる(割れチェック)
  18. おわりに

1. ヒゴとは何か(山葡萄の場合)

山葡萄のヒゴは、蔓(つる)を裂いて、さらに厚みと幅を整えた帯状の材料。竹ヒゴよりも繊維が強く、経年で艶が増し、色が深まっていくのが魅力。一方で、素材が不均一になりやすいから、ヒゴ作りの工程がとにかく大事になる。

山葡萄は外側の皮が濃く、内側が淡い。この層の違いをどう活かすかで、籠の表情はガラッと変わる。


2. 山葡萄ヒゴの種類(何をどこに使うか)

ヒゴは「太さ」だけでなく、役割で考えると失敗しにくい。

(1)構造用ヒゴ(強度担当)

底・胴の面づくりなど、荷重がかかる部分に使う。

  • 幅の目安:4〜7mm
  • 厚み:やや厚めでコシ重視
    強度が出る反面、曲げにくいので縁や折り返しには不向き。

(2)仕上げ用ヒゴ(見た目担当)

編み目の整い、面の美しさ、触ったときの肌を作る役。

  • 幅の目安:3〜5mm
  • 厚み:中〜薄め、均一性優先
    ここが揃うと一気に“作品感”が出る。
仕上げ用ヒゴ(見た目担当)

(3)縁・巻き・補強用ヒゴ(曲げ担当)

口元の巻き、縁の処理、補強帯などに使う。

  • 幅の目安:2〜4mm
  • 厚み:薄め、割れにくさ重視
    面取り(角落とし)の出来が、割れに直結する。
)縁・巻き・補強用ヒゴ(曲げ担当)

(4)表皮系/内皮系の使い分け

  • 表皮(外皮)を活かす:色が濃く、表情が強い。外観の主役に向く
  • 内皮中心:淡色でしなやか。細工・曲げ・仕上げに向く
    「どっちが正解」ではなく、見せたい表情と、曲げたい部位で決めるのがコツ。

 

 


3. 山葡萄 ヒゴ作りの道具

本格的な専用道具がなくても始められるけど、精度を上げるなら道具は効く。

  • 小刀(よく切れることが最重要)
  • 切り台(安定して作業できる板)
  • 砥石(切れ味が落ちたら即研ぐ)
  • 手袋や指サック(ささくれ対策)
  • 霧吹き・濡れ布(湿し用)
  • クランプ(固定が必要な場面で便利)

※刃物作業が多いから、切れ味が悪い刃ほど危ない。研ぎはケチらない方がいい。

山葡萄のヒゴ作りは、
「刃(切れ味)」「固定(ブレない)」「湿し(割れない)」
この3点を押さえれば、劇的に上達する。

逆に言うと、高級道具を揃えても

刃が鈍い

材料が動く

乾燥で割れる
これが残っていれば、仕上がりは伸びない。

 

 

 

4.山葡萄 ヒゴ作りの治具

山葡萄のヒゴ作りは「刃物」よりも、実は 治具(じぐ)=再現性を作る仕組み を入れた瞬間に一気に安定する。ここでは 買わずに作れるのを中心に、工程別に“効く治具”を紹介する。


1) 幅決め治具

A. 「溝ゲージ板」:幅を揃える

目的:ヒゴ幅のブレを減らす(3mm / 4mm / 5mm など)
構造:移動してヒゴ幅を調整できる“当て木(ストッパー)”と薄刃のシンプルな構造

  • 材料:硬めの木板(端材でOK)
  • 仕様:ヒゴ幅毎に当て木(ストッパー)を移動して必要なサイズ幅のヒゴをカット。
  • 使い方:ヒゴをカット溝に通して、引きながらヒゴを作成

メリット:目盛りで測らずに、同じ幅を量産できる
コツ:山葡萄は繊維が強いので、溝の角は面取りして引っ掛かりを減らすとラク。


 

山葡萄 ヒゴ幅決め治具



4. 山葡萄ヒゴの製作工程

※ここでの「ヒゴ」は、山葡萄の樹皮(主に内皮・削り皮など)を、編組に使える“帯状の材料”に整えたものを指します。地域で呼び名や工程が異なるので、「基本形+現場での調整ポイント」まで落とし込みます。

山葡萄ヒゴの製作工程の動画は下記を参照してください。

 

https://youtu.be/GUT5ZYhoCFE?si=2xkaFXxby7qK5JHe

 

 

0. まず押さえる全体像(採取後〜使用まで)

最短で迷わないための工程マップを先に出します。

[採取] → [一次処理] → [乾燥・保管] → [戻し] → [皮の整形/なめし] → [ヒゴ取り(裁断)]
     → [幅/厚み調整] → [仕上げ] → [再乾燥・ストック] → [使用前の戻し] → [編み込み]

ポイントは2つだけ。

  • ヒゴ作りは「水分コントロールの技術」
  • 仕上がりは「選別(素材の格付け)」で8割決まる

皮を「採る時期」が工程を左右する

山葡萄の皮が剥ぎやすい時期は限られ、梅雨時期など短期間と言われます。
※採取のタイミングを外すと、皮が剥げず“加工難”になります。

山葡萄の皮を採る最適な時期【エリア別一覧】

エリア 最適時期(目安) 状態・特徴 注意点
北海道 6月中旬〜7月上旬 樹液がしっかり回り、皮がよく剥ける 早すぎると未成熟、遅いと繊維が荒れる
東北(青森・岩手など) 6月上旬〜6月下旬 最も安定。厚みと粘りのバランス良好 梅雨入り前後の短期間が勝負
東北南部(宮城・福島) 5月下旬〜6月中旬 繊維が締まり、ヒゴ向き 気温上昇で一気に適期終了
関東・甲信越 5月中旬〜6月上旬 剥離性が良く、加工しやすい 雨が少なすぎる年は要注意
北陸 5月下旬〜6月中旬 水分量が多く皮が素直 湿度過多でカビ管理必須
中部(東海) 5月上旬〜5月下旬 早めだが質は安定 遅れると皮が固くなる
関西 5月上旬〜5月中旬 薄めだが均質 真夏は不可(剥けない)
中国地方 5月上旬 繊維がやや硬め 採取期間が非常に短い
四国・九州北部 4月下旬〜5月上旬 早期採取、皮は薄い ヒゴ幅・用途を限定する
九州南部 4月中旬〜下旬 柔らかいが耐久性弱め 籠外装向き、構造材不向き

 

 


1. 採取直後の一次処理(現場で勝負が決まる)

採取して持ち帰った直後にやる“勝ち筋”の処理です。ここを雑にすると、後工程で全部しんどくなります。

1-1. 付着物を落とす(泥・苔・虫・葉柄)

  • 乾く前に、泥だけは先に落とす(乾くと固着して後で削る羽目になる)
  • 強く擦りすぎない(表層を荒らすと毛羽が増える)

 

1-2. まっすぐに整える(曲がり癖の抑え)

  • 剥いだ長い蔓皮は軽く反らせて束ね、輸送中に折らない
  • ここで折れると、後でヒゴの“つなぎ”が増え、作品の格が落ちやすい

1-3. ねじれ、ソリ整形 

  • 皮を剝いで柔らかいうちに外表に伸ばして四隅に重い角材を置いて乾燥される。
  • 下面がむれてカビが発生しやすので半日ごとに表、裏を交換する。

 

2. 乾燥

山葡萄材は、乾燥のさせ方で「割れ」「カビ」「脆さ」が変わります。
乾燥は、急がず・蒸らさずが鉄則。

2-1. 乾燥の基本:風通し+直射日光を避ける

  • 風が抜ける日陰で干す(急激な乾燥は表面だけ締まって内部と差が出る)
  • 乾燥中は束の中心が湿りやすいので、束を厚くしすぎない

2-2. “乾いたフリ”に注意(芯湿り)

外側が乾いても芯が湿っていると、保管中にカビが出やすい。

表面:乾いている  ○
芯  :湿っている  ×  → 保管中にカビ・変色
対策:束を薄く/時々組み替え/風を通す

3. ヒゴ加工前作業 戻し(水に浸ける“)

乾燥させた皮や材は、そのままだと割れます。
まずは**戻し(浸水)**で繊維に水分を入れ、しなやかさを回復させてからひごの加工を行います。

3-1. 戻しの目安(判断は手でやる)

時間は素材の厚み・乾燥の強さで変わるので、「時間」より「状態」で見ます。

  • 曲げても白く粉を吹かない
  • ねじっても繊維が立って裂けない
  • 指で押すと、弾力が戻る

 

3-2. 浸水時間の目安

6〜12時間(半日程度)

状態別の調整ポイント

  • 採取して間もない樹皮
     → 3〜6時間でも十分に柔らかくなることがある
  • 乾燥が進んでいる樹皮
     → 12〜24時間浸水する場合もある
  • 冬期・水温が低い場合
     → 時間をやや長めにする(+2〜4時間)

※浸しすぎると繊維が弱くなるため、「一晩以上放置」は避けるのが無難です。


 

4. 鬼皮剥ぎ(オニ皮→目的の層を取る)

山葡萄の蔓の一番、表面の荒い皮(鬼皮)を剥がします。

金網ブラシ、スクレーパー等を用いて削ると、その下に使いやすい層があります。工房によって「一番皮」「二番皮」「削り皮」など呼び分けます。

4-1. オニ皮(荒皮)を落とす

  • 表面のバサバサを落として“肌”を出す工程
  • ここを荒らすと、後でヒゴが毛羽立ちやすい

 

 

5. 引き(伸ばし)・なめし(均し)で“ヒゴの品格”を作る

戻した皮は、そのままだと波打ち・ねじれ・厚みムラがあります。
ここで「引き」「なめし」を入れて、材料の品を上げます。

5-1. 引き(テンションをかけて真っ直ぐに)

  • 片端を固定して、一定の力で引く
  • “やり過ぎ”は繊維破断の原因(特に薄層)

5-2. なめし(厚みムラを潰し、硬さを均す)

  • 木片やヘラ、丸棒でしごくイメージ
  • 目的:
    • 繊維を寝かせる
    • 表面の毛羽を減らす
    • 伸びを安定させる

山葡萄の「なめし」は、採取した蔓(つる)の皮を柔らかくし、かご編みなどの細工に適した状態にするための下処理工程を指します。動物の皮を鞣(なめ)すのとは異なり、「柔軟性を出す作業」が中心です。

鞣し手順

水に浸す: 乾燥した皮を水に数時間から一晩浸して柔らかくします。
オニ皮・汚れの除去: 水から上げた皮の表面(オニ皮)を、専用の竹製ヘラやスクレーパー、たわし、金網ブラシといった道具を使い、こそぎ落とします。
揉み・しごき: 皮を棒に通したり、手で揉んだりして繊維をほぐし、編みやすい柔軟性を持たせます。

解説イラスト(引き・なめしの力の方向)

[固定]====(皮)====→  引き(張力を一定に)
          ↑
        ヘラでしごく(なめし)

6. ヒゴ取り(裁断):幅を決める

ここが「ヒゴ作り」の心臓部。
同じ皮でも、切り方で強度も表情も変わります。

幅出し(帯を作って、狙った幅に割き揃える工程)”を、ハサミを使う方法と②手で割く方法等で解説。

ハサミか手か どちら?

見た目・強さ・編みやすさ最優先 → 手で割く(裂く)主役

速度・寸法の初期合わせ → ハサミ/カッターで“起点作り”に使う

結論:“切る→裂く→微調整で切る”の併用が一番安定する。

幅出し前の準備(成功率が跳ねる)

含水状態
  • 乾燥材:霧吹き→濡れ布→袋で半日〜一晩
  • 目標:曲げるとしなる/でもヌルヌルしないくらい
    • 乾きすぎ=途中で“割れ止まり”
    • 濡れすぎ=繊維が暴れて幅が蛇行

繊維方向の見分け

  • 内皮の筋がまっすぐ走る方向が“割き方向”
  • 端をちょい裂いてみて、素直に走る方向が当たり

作業台と姿勢

  • 台の上で、素材を軽く張る(たるむと蛇行する)
  • 両手で“テンション一定”がコツ

手で割く(裂く)方法:きれいで強い王道

手順(基本)

①「起点」を作る(ここだけ刃物OK)
  • 端を 5〜15mm だけ、狙う方向に切り込み
  • そこから爪で開くか、先端だけちょい裂く
② テンションをかけて裂く
  • 両手で持ち、裂け目の先を見ながらゆっくり引く
  • 裂け目が片側に寄ったら:
    • 寄った側(太くなりそう側)を少し強く引く
    • 反対側を少し緩める
      → これで裂け目が中央に戻る
③ “蛇行しそう”な所の対処
  • 節、傷、硬い筋に当たると暴れる
  • その手前で一度止めて
    • 裂け目の先を爪で少し開いて進路を作る
    • それでも暴れるなら 1〜2cmだけ刃物でガイドして再開

コツ(超重要)

  • 目線は手元じゃなく 裂け目の先(5〜10cm先)
  • 引く角度は 真横より、やや手前に引くと安定
  • “急に強く引く”のが一番ダメ。一定の力が勝つべ

ハサミ利用:便利だけど、使いどころが肝

ハサミのメリット

  • 端の“揃え”が速い
  • 最初の帯幅(20〜30mm)を出すのが楽
  • 乾き気味でも進められる

ハサミのデメリット(知っとくと事故減る)

  • 繊維をブツ切りにしやすく、あとで裂けやすい
  • 切り口がギザると、そこからささくれ・割れ始点になる
  • カーブ切りになると幅が蛇行→厚み出しで地獄

ハサミを使う“正しい使い方”

① 最初は「太い帯」を作る用途だけ

  • いきなり5mmをハサミで狙わない
  • まず 20〜30mm帯(ざっくり)を作る
    → そこから細割りは“裂き”で仕上げる

② 切るなら「一気切り」より「小刻み切り」

  • 一気切りは曲がる
  • 5〜10mmずつ進めるとまっすぐになりやすい

③ 切り口の“毛羽”は早めに処理

  • ささくれが出たら、そのまま割くと暴れる
  • 端だけ小刀で軽くならす(削ぐじゃなく“整える”)

いちばん安定する「併用ルート」(おすすめ)

①ハサミで太帯 → ②手で裂いて所定幅 → ③ハサミで微調整
この順が失敗少ない。

具体例:幅5mmのヒゴを作りたい

  1. ハサミで 25mm帯を作る
  2. 25mmを手で裂いて 12mm×2本
  3. 12mmを手で裂いて 6mm×2本
  4. 6mmを裂いて 5mmを狙う(ここは慎重)
  5. もし5.5mmとかになったら、最後にハサミで0.5mmだけ整える

※最後の微調整を“切り”でやると、寸法が決まりやすい。

 

7. ヒゴ取り:厚みを決める

  1. 目標厚みを決める
     編み用:だいたい 0.7〜1.2mm(強度が欲しい所は少し厚め)
  2. 状態を整える
     乾きすぎなら霧吹きで少し戻す(カサカサだと欠けやすい)
  3. 削る向きを確認
     試し削りして、毛羽立たない向き=順目で削る
  4. 粗削り(まず寄せる)
     目標より +0.2〜0.3mm厚め まで落とす
     ※刃は寝かせて、薄く長く削る(力で押さない)
  5. ムラ取り(面で均す)
     厚い所だけ点で削らず、長いストロークで段差を消す
  6. 仕上げ削り(目標に合わせる)
     測りながら少しずつ(特に端が薄くなりやすいので注意)
  7. 角落とし(面取り)
     両端の角をほんの少し丸めて、割れ・ささくれ防止
  8. 最終チェック
     軽く戻して曲げる:
     白化→戻し不足/削り荒れ パキッ→その部分はNG
1. 山葡萄ヒゴの「適正な厚さ」
山葡萄のヒゴの厚みは、一般的に 0.5mm 〜 1.0mm 前後(カンナ掛けをして0.1〜0.3mmに揃える職人もいます)に調整されます。 [1]
  • 厚みの目安:
    • 厚すぎると板のように硬くなって編めず、乾燥したときに折れたり浮き上がったりします。
    • 薄すぎると強度が落ちるだけでなく、水に浸した際にくるくると丸まってしまい扱いにくくなります。 [1]
  • 幅とのバランス: 樹皮の元の厚みを確認し、薄い皮は細め(3〜5mm幅)、厚みのあるしっかりした皮は広め(7〜10mm幅)にカットするのが繊維を活かすコツです。

 

山葡萄 ヒゴ 厚み調整治具

 

山葡萄の皮のヒゴを薄くそろえる治具は、基本的に**「刃を固定し、ヒゴを引いて余分な厚みを削る道具」**です。カンナを動かす代わりに、材料のほうを動かすと考えると分かりやすいです。

ただし、治具によって**「削る量を調整する方式」と「仕上がりの厚さを決める方式」**があり、ここが大切な違いです。

① 刃の出具合で、削る量を調整する方式

固定した刃にヒゴを当て、押さえながら引いて薄く削ります。

  • 刃の出具合:1回で削る量を調整します。
  • 押さえる力:刃への当たり方を変えます。
  • 通す回数:厚いところを少しずつ削り、厚さをそろえます。

山ぶどう用の「けずり姫」は、このように刃の出し入れと手の押さえ加減で削り厚さを調整する道具として紹介されています。ちいくろ工房

② 刃と受け台の隙間で、仕上がり厚さを決める方式

こちらは、ヒゴを支える受け台と刃の間に一定の隙間を設ける構造です。以下は一般的な仕組みの説明で、特定の治具の構造を確認したものではありません。

部品 働き
受け台・受けローラー ヒゴの下面を支え、厚さの基準にする
固定刃 設定した厚さより上に出る部分を削る
調整ねじ・スペーサー 刃と受けの隙間を調整する
押さえ ヒゴの浮き上がりやばたつきを抑える
固定台 引く力で治具が動かないようにする

例えば、刃先と受け面の隙間を1.0mmに設定し、厚さ1.5mmのヒゴを通すと、理屈上は余分な0.5mmが削られるという仕組みです。数値は説明用で、推奨厚さではありません。

ただし、山葡萄の皮は柔らかく、押すとつぶれるため、隙間の寸法が、そのまま加工後の厚さになるとは限りません。 水分、押さえ圧、表面の凹凸などで仕上がりが変わります。厚い部分は一度に削らず、少しずつ通し、同じ水分状態で厚さを測って調整するのが基本です。

見分けるポイントは「刃の反対側に、ヒゴの厚さを規制する受けがあるか」です。 刃の出具合だけを調整する治具では、通すだけで一定厚さになるとは限りません。

参考動画:安曇野昭和館工房様  山葡萄 ヒゴ 厚さ調整治具

 
 
 
 
 
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動作は次の順序です。

  1. 上側を開く
    クランプを付けた上側の部品を持ち上げます。約28秒の場面で、下側の金属板が見えます。

  2. 受け板の上にヒゴを通す
    ヒゴを木製台に沿わせ、金属板を横切るように置きます。

  3. 上側を下ろして、ヒゴを引く
    加工部で厚み方向に薄く分かれ、帯状の部分が出てきます。金属板は、刃が当たる付近でヒゴを下から支える役割と考えられます。

厚さ調整で重要なのは、「刃先と受け板の間隔を、どう一定に保つか」です。
上側が決まった位置で止まれば、その隙間が仕上がり厚さの目安になります。手の押さえ方で上側の位置が変わる構造なら、押さえる力によって削れ方も変わります。

 

 


7. 仕上げ(毛羽取り・面取り・癖取り)

ヒゴの“触感”と“見た目の上質さ”を作る工程です。

7-1. 毛羽取り

  • 乾燥させた後、軽く擦って毛羽を落とす
  • 籠の仕上げとして、亀の子たわし等で毛羽を取る工程が紹介されています。

7-2. 面取り(角を落として割れにくく)

  • 角が立つと、編み込み中に割れやすい
  • とくに細ヒゴは面取りが効きます

解説イラスト(面取りの効果)

角が立つ:┏━━┓  → ひび割れ起点になりやすい
面取り後:╭━━╮  → 応力が逃げて割れにくい

8. 再乾燥・ストック(“使える在庫”を作る)

仕上げたヒゴは、次の制作に備えて状態よく保管します。

8-1. 乾燥させてから保管(湿りっぱなしはNG)

  • 湿ったまま密閉→カビの温床
  • 風通しの良い涼しい場所で保管、湿気に注意という注意喚起があります。

8-2. 保管のコツ(束ね方)

  • 幅別・厚み別・長さ別に束ねる
  • ラベルを付ける(次回、迷子にならない)

解説イラスト(ストック管理)

[太] 20本束  ラベル:底用  長尺
[中] 30本束  ラベル:胴用  標準
[細] 50本束  ラベル:縁/飾り  短尺多め

9. 使用前の“戻し直し”(制作当日のコンディション作り)

在庫ヒゴをそのまま使うと割れます。制作当日は、必要分だけ戻します。

9-1. 使う分だけ戻す

  • 全量を戻すと、乾燥→戻しの繰り返しで劣化しやすい
  • “今日編む分”だけがいちばん強い

9-2. 湿し管理(編み台の上で乾かさない)

  • 乾くと割れる
  • 濡らしすぎると伸びて編み目が甘くなる(乾燥後に縮み方が不均一)

解説イラスト(含水の狙い)

乾きすぎ  :割れる(×)
ちょうど良い:曲がる+締まる(○)
濡れすぎ  :伸びる+甘くなる(△)


山葡萄 ヒゴ製作後の品質チェック

山葡萄のヒゴは、作った直後に「合格っぽい」でも、乾いた後・戻した後に性格が変わることが多い。
だから品質チェックは、乾燥状態→戻し状態→使用想定の3段で見るのが一番確実。

① 見た目(等級分け)

  • 色が揃ってる/黒ずみ・斑点なし
  • 傷・虫食い・裂け筋なし
  • 毛羽が少ない
    → きれいなら「見せ面用」、微妙なら「内側・補強用」に回す

② 幅と厚み(ムラがないか)

  • 同じ束で幅がガタガタだと編み目が乱れる
  • 厚みムラがあると、波打ち・割れの原因

③ 反り・ねじれ(扱いやすさ)

  • 反ってる/ねじれてるヒゴは、編むときに言うこと聞かない
    → クセ強は「内側」や「つなぎ」に回す

④ 戻して曲げる(割れチェック)

水で戻してから軽く曲げて

  • 白くなる(白化) → 戻し不足 or 傷み気味
  • パキッ → その部分はNG

 

 

 


おわりに

山葡萄籠は、編みが華やかに見える分、下仕事が隠れがち。でも、ヒゴ作りを丁寧にやると、編みの時間は短くなって、仕上がりは一気に上がる。ヒゴは地味だけど、籠づくりのいちばん面白い“核心”でもある。

 

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